AWSの基本的なしくみ

AWS, クラウド 🕒 2025年4月27日
             

AWS(Amazon Web Services)は、世界最大級のクラウドサービスプラットフォームとして、企業や個人に幅広いソリューションを提供しています。このセクションでは、AWSの基礎的な仕組みと重要な概念について解説します。

仮想化を理解する

仮想化とは、物理的なハードウェアリソース(サーバー、ストレージ、ネットワークなど)をソフトウェア的に分割・抽象化する技術です。
これにより、1台の物理サーバー上に複数の仮想マシン(VM)を動作させることが可能になり、リソースの効率的な利用、コスト削減、柔軟な管理が実現します。

AWSでは、仮想化技術を活用して、EC2インスタンス(仮想サーバー)を提供しています。これにより、ユーザーは物理サーバーを意識することなく、必要な計算リソースをオンデマンドで利用できるのです。

仮想化のメリット・デメリット

仮想化のメリット

  1. コスト削減
    • 物理サーバーの台数を減らせるため、ハードウェア購入費、設置スペース、電力・冷却コストが抑えられます。
  2. リソースの有効活用
    • 1台の物理サーバーを複数の仮想マシンに分けて使えるので、CPUやメモリを無駄なく活用できます。
  3. 柔軟な運用
    • 仮想マシンはソフトウェア的に管理できるため、簡単に起動・停止・再起動・バックアップ・複製が可能です。
    • 必要に応じてすぐにスケールアップ・スケールダウンできます。
  4. 障害対応が容易
    • 仮想マシンのイメージをバックアップしておけば、障害発生時に迅速に復元・移行が可能です。
  5. テスト環境の構築が簡単
    • 新しいシステムやアプリのテスト環境をすぐに作成でき、開発スピードが向上します。
  6. 運用自動化がしやすい
    • 仮想環境ならAPIやツールでインフラ構築・運用を自動化(Infrastructure as Code)しやすくなります。

仮想化のデメリット

  1. パフォーマンス低下の可能性
    • 仮想マシンは物理ハードウェアを共有するため、リソース競合が起きるとパフォーマンスが劣化することがあります。
  2. オーバーヘッド(余計な負荷)
    • 仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザー)がリソースを管理するため、その分わずかにオーバーヘッドが発生します。
  3. ライセンスや管理コストが発生する場合がある
    • 仮想化ソフトウェアや管理ツールにライセンス料がかかることもあります。
  4. セキュリティリスクの増加
    • 仮想マシン間で隔離されていても、ハイパーバイザーの脆弱性が悪用されるリスクがあり、従来とは異なるセキュリティ対策が必要です。
  5. 複雑な運用管理
    • 仮想マシンが大量に増えると、管理対象が増えて運用が複雑化することがあります(スプロール問題)

クラウド基礎

クラウドとは、インターネットを介してリモートのデータセンターにアクセスし、ITリソース(サーバー、ストレージ、データベース、ネットワークなど)を利用できる仕組みを指します。
クラウドの主な特徴には次のようなものがあります。

  • オンデマンド性:必要なときにすぐ使える
  • 弾力性(スケーラビリティ):リソースを増減できる
  • 従量課金制:使った分だけ支払う
  • グローバルアクセス:世界中どこからでも利用可能

AWSは、これらのクラウド特性をフルに活用できる代表的なプラットフォームです。


AWSサービスの概要

AWSには200以上のサービスがあり、代表的なカテゴリは以下の通りです。

  • コンピューティング(例:EC2、Lambda)
  • ストレージ(例:S3、EBS)
  • データベース(例:RDS、DynamoDB)
  • ネットワーキング(例:VPC、CloudFront)
  • セキュリティとアイデンティティ(例:IAM、KMS)

これらを組み合わせることで、アプリケーション開発、データ解析、機械学習、IoTなど、さまざまな用途に対応できます。


AWSのグローバルインフラ構成

AWSは、世界各地に**リージョン(Region)とアベイラビリティゾーン(AZ:Availability Zone)**を持っています。

  • リージョン:地理的に分散したデータセンター群(例:東京リージョン、オレゴンリージョン)
  • アベイラビリティゾーン:リージョン内にある独立した複数のデータセンター

これにより、可用性・耐障害性・スケーラビリティが高まり、障害が発生しても別のAZに自動で切り替えられるなど、サービスの継続性が確保されます。

さらに、エッジロケーション(CDNネットワーク)を活用することで、世界中のユーザーに高速にコンテンツを配信する仕組みも整っています。


AWSの意義

AWSの意義は、企業や個人が以下のようなメリットを享受できる点にあります。

  • 初期投資を大幅に削減できる
  • システムのスピーディーな立ち上げが可能
  • 規模の拡大や縮小を柔軟に対応できる
  • 世界中に展開しやすい
  • 最新技術(AI、機械学習、ビッグデータ分析など)に素早くアクセスできる

これにより、スタートアップから大企業まで、あらゆる規模の組織がイノベーションを加速させることができるのです。